GALLERY TANTO TEMPO | Takeki Sugiyama
Photography Gallery Based in Kobe JAPAN
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Author:Takeki Sugiyama

TANTO TEMO Days

“du Portugal, frôlement” Patrick Taberna写真展のご案内

写真家にとって写真を撮ることとは何か。何が写真家をそこに向かわせるのか。

これは写真家にとって最大のテーマかもしれません。

このシリーズは、Patrick Tabernaのその後の独特の写真づくりの原型が随所に見てとれる極めて美しいモノクロームのシリーズです。彼がまだ30代のころ、旅を通じてその感受性の発芽をみながら独特の写真表現を獲得してきたことが写真の中に鮮やかに描かれています。映画やテキストに触発されて訪れた街。そこで見かけた風景。1995年のポルトガルは彼にとって写真家として生きていくことを決意した思い出の場所なのです。みずみずしい感覚が隅々まで行きわたるパトリック・タベルナのポルトガルシリーズをぜひご覧ください。

UTAKATADO Publishingでは、本作をまとめた新作写真集を発表いたします。

2015年9月20日(日)午後4時から作家のトークショー、サイン会およびレセプションを開催します。(参加費¥1,000)

 

同時開催

パトリック・タベルナ写真展 「Nos Italies」
2015年9月4日(金) – 9月26日(土)
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Nos Italies

南イタリア、2000年2月。ナポリの入り江からアマルフィ海岸へ、
ふたりにとって最後の、ふたりだけの旅。
もうじき赤ん坊が生まれるというのに尚、現実の中の日常を遠く離れ感じる脱出の味、その感覚を失いたくないと願う。でもそれは果たして可能なのであろうか。
これから構築していく、まだ見ぬ私たちの人生…。
ナポリからカプリへ、ポジターノから灰に埋もれた都市ポンペイへ。
過去の痕跡と、今ここにある幸せ、そして知り得ぬ未来とが奏でるバラード。
“Nos italies”、それは人生の一つの岸辺から、また新たな岸辺への旅。

Patrick Taberna
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【会 期】
2015年9月4日(金) – 9月26日(土)  11:00 – 19:00
日曜・月曜・祝日 休廊
※ご不便をおかけしますが、9月20日(日) – 23(水)は連休となります。

【会 場】
ギャラリー冬青
東京都中区中央5-18-20
TEL: 03-3380-7123

【イベント】
パトリック・タベルナ氏をお迎えしてトークショーとクロージングパーティーを開催致します。
日 時:9月25日(金)19:00スタート (20:30よりクロージングパーティーに移ります)
会 場:ギャラリー冬青
進 行:溝口 剛氏(大学教授)、渡部 さとる氏(写真家)
会 費:1.000円
定 員:先着20名様でうち切らせて頂きます。(現在、残10席です)
申 込:お電話(03-3380-7123)またはメール(gallery@tosei-sha.jp)にてお申し込み下さい。

大口勝弘写真展 “MIZO”今週末開催!

神戸の若手写真家、大口勝弘さんの初個展がGallery TANTO TEMPOで今週末始まります。

彼のいうMicro Landscapeというジャンルは、例えばマクロレンズや内視鏡を使って虫の住む微小な世界を撮影したシリーズがあるように、決して珍しいものではありません。そういうものを見てみたいという興味は、月旅行に行ってみたい、という興味のように普遍的な探求を求める冒険のこころなのかもしれません。

MIZOはその撮影場所から手法、そしてイメージの処理に至るまでとても手数がかかっています。詳しくは写真展にお越しいただいてご確認いただくとして、写真を前に立ってみるといわゆる単純なミクロの世界というふうには見えないのです。隅々まで見渡せる視界の良さや、手を伸ばせば届くのではないかという緻密で微細なMIZOの構造が浮かび上がります。

2015年6月20日から7月26日まで。7月18日午後4時からはアーティストトークが開催されます。

さらに、今回の写真展にあわせてうたかた堂から写真集を出版します。とても美しい仕上がりの写真集となっています。ぜひ写真展にお越しください。

 

初出時トークショーの開催時間を午後5時としていましたが、午後4時の誤りです。訂正してお詫び申し上げます。

Review Santa Feまとめ

写真のレビューや審査の本質は、イメージの背後にある作家の意識を読み取ることにある。そしてそれを社会にどのように渡すのがいいのかを判断することだ。

例えば、単写真の評価とポートフォリオレビューの評価とはおのず異なってくる。単写真の場合は、基本的な写真の技術をまず見ながら、イメージの強さをその写真の被写体と写真家との関係性、被写体がどのように社会に渡されるべきかで推し量る作業をする。単写真の場合は技術がまずいとまず通らない。だからコンテストなどでは技術面からバッサリと落とされていく。次にイメージの強さ、つまりメッセージの強さを見ていく。ではイメージの強さとは何かというと、これは評価者の主観に訴えかける作家のたくらみであり、主観に入り込めるほど冷静で客観的かどうか、ということになる。難しいことを書くようだが、他者が見て優れていると感じられる写真は例えばさほど写真に興味のない小学生が偶然カメラを向けて撮ったものでも成立しうる。しかし、実際は写真家として応募してくるわけだから、社会から見て優れていると評価されるだろうと確信できるだけの思惟を示せるかどうか、他者に確実に届くものしか出せないと考える冷静さが必要だ。すぐれた単写真はいくらでもあるが、それらの上を行けるかどうかを冷静に客観的に信じる力がないと、結局どの作品よりも弱くなってしまう。

ポートフォリオレビューは写真シリーズのコンセプトやストーリーが選考の中心になる。もちろん技術も必要だが、技術をわざとずらしてストーリーを見せる手法もあるから、技術がどうのという問題は先送りにされることもあるだろう。レビュワーによって見方は異なるだろうが、本質的にはプロジェクトのその時代における存在意義やストーリーの興味深さ、こころに触れるものであるか、美しく整ったフォーミュラがあるかなどが評価されるだろう。作家性や世界観というものもあるが、作家性や世界観とは何なのかを考えてみると、作品を通して貫かれる美やストーリーの描きかた、作家のたくらみなわけだから、それを提示する写真家、見出す努力をする評価者は常に戦っているといえる。それらはその現場で撮影している作家の想いや作品作りの思想を想起させるものであり、それらの要素が作品から見て取れることがなにより大切なのだ。

僕自身他のレビューの経験が豊かにあるわけではないが、Review Santa Feは間違いなく世界有数のレビューだと思う。非営利でありながら質の高いレビューを提供し、確実に写真家が世界に渡っていけるようなシステムを構築しており、運営母体や思想は長年の開催で確立されたものだ。新しい表現とは何か、新しい写真とは何かを常に追求しつつ、写真活動を支援することにおいて必要なリソースを提供する強靭な財政もある。彼らがうたっている写真のコミュニティーを作っているという自負が写真家たちにポジティブな影響を与え続けているというのが何よりの証拠だろう。

実際、このレビューには50歳以上の参加者が多い。すでに確立した写真活動を有しているものも再び参加してくる。欧米の写真家は常に前を向いている。自分の居場所に甘んじることなく、新しい挑戦を続け、新しいシリーズが出来上がると必ずこういったレビューに身を置きにくる。そうすることで立ち位置を確認することができる、と多くの参加者は話す。また、当然新しい作品にふさわしい居場所を獲得しにくるのだ。そういう努力を重ねていないとファンが遠ざかっていくからに他ならない。僕はすでに確立している日本の写真家たちを海外の写真イベントの現場で見かけたことがない。彼らは現在立っているその居場所に甘んじているように見える。そこが居心地が良いとでもいうのだろうか。世界にも届かない平坦な写真の境地にいてどうやって高みで輝き、写真ファンを増やせるというのだろう。

日本にはどんなレビューがあるんだ?と多くの作家に聞かれる。日本にあるレビューあるいは写真の有機的な構造が世界から見えていない現実はこころに刻んでおいた方がいい。写真賞もしかり。海外から見てこれほどに写真活動の盛んな国はない。それにもかかわらず日本における写真コミュニティーの見え方が希薄であるのはどういうわけなのか、そういうディスカッションも必要だろう。

六甲山国際写真祭の経験も、たった2年ばかりの活動では何も言えない。しかし、写真というart/media/industry/criticに身を置こうとする人たちは、ただ撮影する、評価する、発表する、写真集を作る、ギャラリーで取り上げるという単純化された行いに終始してはいけない。その先に写真の総体に対する参加意識を持たなければならない。それぞれが勝手に恣意的に好き放題自分たちの利益のために活動しても、さして大きな実りは得られないだろう。営利企業が運営するそれは、豊富な資金こそあるのだろうが、その先にどんな風景が見えるのかがわからないほどアーティストや専門家たちは愚かではない。それぞれがどのような役割を果たせば写真の豊かなリソースを作り、最終的に日本の写真活動が点ではなく面で広がり、国内ばかりか海外の優れた活動を呼び込み、結果として社会に対して写真のすばらしさを伝え、社会からフィードバックを得られるようになるかを、知恵を持ち寄って議論すべき時が来ているのだ。小さなパイをたくさん焼いて小さな分前に甘んじるのか、大きなパイを社会という大きな窯で焼いて大きな分前を受け取るのか。どちらがいいのかは考えるまでもないことだ。

Review Santa Feレポート4

Review Santa Feでレビューをした27名のうち、14名が写真集を携えていた。そのうち6名はダミーブック、4名は自費出版、4名が企画出版だったと思う。残りのうち10名もカタログを製作していた。1冊もののダミーブックはさすがに受け取れず、1名は後日六甲山国際写真祭用につくってくれるのを買い取ることにした。2名はオープンポートフォリオビューイング中に実費あるいはディスカウントで買い取った。写真家を支援すると言いながら高い本をタダでいただくことには抵抗があるので、買い取るようにしている。

Santa Fe最終日にはPhoto Eye Book Storeに立ち寄ってきた。従来のBook Storeを閉店し、本来ギャラリーだったところにそっくり引っ越していた。さらに、ギャラリーは昨年からHotel Santa Feという昨年レビュー会場となっていた高級ホテルの敷地内に引っ越していた場所に集約されていた。Photo Eyeの総合ディレクターと声を交わしたが、やはりプリント販売より写真集は勢いがあるようだ。ここでは六甲山国際写真祭用のPhoto Eyeセレクションの参加をお願いしてきた。これはブックストアのディレクターMelanieにイベント趣旨を伝えて例年参加してもらっているものだ。写真集コレクターがよく見ているサイトを巡って情報を収集する方法よりも確実にいい写真集が手に入ると思う。まあどのような写真集が売れているかは、Photo Eyeのサイトなどをみていると確実に見えてくる。Gallery TANTO TEMPOが作った写真集や六甲山国際写真祭のカタログなんかも置いてくれていて面ばゆい気がした。

写真集は未だ勢い衰えることなくどんどん生産されている。あらゆる種類のあらゆるジャンル、そして装丁デザインも欧米は本当に面白い本をコストを度外視してどんどん作っている。僕がそれらの本を面白いと思うのは、逆に日本のそれとは異なったプローチで作られているからだ。製本の方法論が欧米の方が歴史的に深いというのは容易に想像がつく。さらに、クラウドファンディングなどをうまく利用して資金面で充実しているのも理由の一つだと思う。本の綴じ方、表紙のつけ方、活版や型押し、クロスの種類など、国内の製本業がどんどん細っていて方法がしぼんでいく実情に比べると欧米の製本はまだまだ力があるように感じた。国内では作りたいように本を作れない。ダミーブックのワークショップなどでそういった方法を教えているみたいだが、国内の製本も面白いことができるようになれば製本業の勢いを復活させることができるのではないか、などと感じながら面白い写真集を探して歩いた。

写真集を作る理由は様々だが、現状は流行と言っていいほど誰もが写真集を作っている。かつてはいいギャラリーと出会って個展を開くことやコレクターにアクセスすることが目標だったわけだが、現代は写真集製作の垣根が下がって、誰もが写真集の作り方を知っている。イラストレータやIn Designなどの扱いに自信があればデザインや編集など誰にでもできるし、むしろ自由奔放につくることが写真集の価値を生みだしているように思えた。従来、肝心なのは中身だと誰もが考えていたが、写真そのものの力量だけが売り上げを左右するということはこと写真集に限って言えばないように思える。それがいいことかどうかはわからないが、写真がよくコレクターに響くキャッチーな装丁と、紙質やアイデア次第。総合力とでも言おうか。そういう本が売れていくのだ。

Review Santa Feレポート3

皆さんはAnne Tuckerという方をご存知だろうか。僕は写真家のOsamu James Nakagawa氏から聞きかじった程度で正直あまり勉強してこなかった。

今年のReview Santa Feはレビューイベントとして創設15周年とのこと。その記念イベントとしてクロージングレセプションで取り上げられたのがAnne Tuckerの活動をトリビュートするトークショーだった。

まず、Anneの略歴がReview Santa Feのオーガナイザーの方からアナウンスされ、その後に関わり合いのあった7名ばかりの写真家やキュレーター、学者などがインタビュアーの質問に答える形でFace Time(アップルのビデオチャット)やSkypeの映像が編集されて10分ほど放映された。この映像の元になるインタビューをしたのが先に書いた記事のGay Block。GayとAnneはもう40年の付き合いで、おそらくアメリカの写真がアートやジャーナリスティックな視点から最も豊かな拡張を見せた1970年から90年の写真を眺めてきたはずで、彼女たちが仕掛けてきた写真の歴史上のチャレンジが次々に紹介されていた。その中に日本人写真家の発掘、ということが取り上げられて、特に荒木氏などビッグ3(後は誰なんだろう?森山さんと誰か?)と言われる写真家を欧米に紹介した功績が取り上げられていた。聞き取れないところもあったが、ある年何名かの研究者や写真家と日本を訪れて、16日間に18都市をおとずれて優れた写真、写真家を探し回ったという。(聞き取りメモから起こしたので順序や中身が前後している可能性あり)

その後テキサス大学やシカゴ、ニューヨークのアートカウンシルの活動を経て、ヒューストンに移り現在のヒューストンフォトフェスの原型が形成されたとのことだ。アメリカのポートフォリオレビューの原型は彼女が作ったのだ、と紹介されていたし、なんと美術館や個人を通じて30,000枚の写真コレクションを形成するために奔走したと紹介されていた。30,000枚?ものすごい数としか言いようがなく、思わず吹き出しそうになってしまった。さらに、彼女自身が偉大なコレクターであることも紹介されていた。

その後Gay Blockが登場し、ユーモアを交えてAnneとの40年間の思い出話しを紹介していたのだが、その後にAnne Tuckerが実際に登壇した時には会場は拍手喝采で埋め尽くされた。

DSC02057Anneはさほど難しい話をせず、とにかくどうすれば写真の地位を向上させ写真家という職業を成り立たせることができるか、そのために必要なリソースは何かを毎日考えていたと話した。その結果写真コミュニティーをつよく作り上げることが何よりも必要だと感じ、多くの専門家が一つのアイデアに集まってきてくれてそれでヒューストンができたのだ。私の功績なんてとんでもない、写真のコミュニティーが同じような熱意のある人たちによって、Review Santa Feのようなイベントを支えようとするすべての人たちが心を一つにしてまとまった時に、写真というものが大きな価値を持ちながら現在の世界の状況を作り上げたのだ。という内容の話をとにかくユーモアまじりに20分ばかり返礼の挨拶をして会は終了した。

こういう話を聞く機会は日本にはなかなかないだろう。その後僕も主催者に紹介されて短いけれど挨拶を交わすことができた。六甲山?神戸?ああ、知ってる、神戸素敵な場所ね。そんなところで写真祭を?素晴らしいわね。。。

もちろん、通り一遍だけれど神戸に来てくれるよう頼んでみた。来てくれるだろうか。

Review Santa Feレポート2

今年はTOP100の日本人参加者が1人と少なかったのが残念でした。日本人の通過者はほかにもあったようですが、諸事情で最終的には一人だけになってしまったようです。勿体無くもありますが、レビューの参加費も次第に高額になっており(9枠$800!)、旅費を含めるとかなりの負担になるわけで、作品から写真活動の未来を見通せないと参加するにはかなりの勇気が必要なのも事実です。

スライドショーには JavaScript が必要です。


今回見事に予選を通過したなかしまひろきさん。通訳なしでしっかり英語でコミュニケーションをとっているところは素晴らしかったと思います。どうしても日本人びいきで見てしまうので孤軍奮闘という感じでしたが、次々とレビューをこなさなければならない僕としては、時々彼の動向を目で追いながらがんばれと心の中で応援するくらいしかできませんでした。シリーズは東京で撮影したモノクロのポートレイト。少し過激な風貌の男女を単一の構造の写真におさめて作る生粋のストレート銀塩写真でした。本人はいたって静かな若者で、初めての経験に緊張しきりでしたが、ポートフォリオビューイングでは逆にとてもシンプルなストレート写真であるところが注目を集めていたと思います。彼自身が話していたことですが、世界の写真の中に置いた時どれくらいのポジションが取れるのか確かめに来た、というなかでの挑戦。趣向を凝らし表現に技をしかけてチャレンジしてくる海外勢にたいして、ストレートで押しとおした強さもあり、人柄の良さも手伝って、レビュー最終日に誰かが仕掛けた145 GALLERY(客室の145号室を即席ギャラリーにしてしまった。のちに騒音で追い出される)では他の参加者に引けも取らず人気を博していました。

 

彼自身、レビューに参加したことがどれほど今後の活動に影響するか、現時点では計り知れません。しかし、初日の夜に軽く食事に誘った時に話した限りでは、やはり世界の表現のスケールに圧倒される場面もあったと思います。ただ、昨年も一昨年も参加者が成果をあげていったように、Review Santa Feに呼ばれるぐらいの実力があれば、そしてこの場所の写真に対するあくなき挑戦を目撃してみれば、新たな勇気と情熱が湧き起こって次の作品への大きなステップアップを実現されることは間違いありません。その例に漏れず、しっかりと写真と向き合っていただきたいと思います。なにより、Review Santa Feの特徴の一つである写真コミュニティーの縦横のつながりになかにしっかりと組み込まれていくことで、実力以上にたくさんの可能性がもたらされることは間違いがありません。なかしまさんには六甲山国際写真祭やその他のプログラムに参加していただこうと思っています。

今年はReview Santa Feから主催者のLaura Pressleyが六甲山国際写真祭のレビューにやってきます。彼女にはナイトセッションにてアメリカのレビューの歴史などをレクチャーしてもらおうと考えています。

なかしまひろきウェブサイト

Review Santa Feレポート1

Review Santa Feも今年は3回目。3年連続参加してみると、写真のトレンドやイベントの作り方、参加作家がどう選ばれているのかがかなりわかるようになってきます。今年はReview Santa Fe Photo Festivalと枠組み名を変えてまでイベントの方向性を新たに打ち出す必要があったようです。展覧会やコンテスト、レビュー、レクチャーなど豊かな写真リソースを使って総合的に写真のコミュニティーをサポートするというのがその理由です。一方で写真祭やフェア、コンテストが世界中の場所で限りなく増えている状況に異論を唱える専門家が多く、危機感を募らせている現状も見えてきます。Review Santa FeやAngkor Photo Festivalなど、non profitな写真祭とは違って営利目的に開催される写真祭も増えてきているとのことで、そういう時代において写真家がどのイベントを選んで参加するのかということが重要になるとの指摘がありました。

今年も29名の写真家をレビューしました。北欧から南米、アジアまで、世界各国から参加者が集まっていて、僕も7カ国の人たちと話をしました。昨年はパーソナルな写真が多く、レビューそのものはとても難しかった記憶がありますが、今年はアート性の高い作品からジャーナリスティックなものまで、パーソナルなものを含めてバランスが良く、レビューはさほど疲れませんでした。また、例年にもれず質の高い作品が多く、アイデアも豊富で驚かされました。先の記事にも書きましたが、今年は環境風景写真というコンセプトを擁した作品が3名ばかりあり興味深くみることができました。すでに確率したポジションをもっている50代から60代の写真家の参加も多く、レビューに参加する意味がもう一つ描けない日本の写真家の現状とは異なりあらゆる写真、あらゆる方向性に対しても貪欲にアプローチする写真家が多く、作品と社会との橋渡しがきちんとできているシステムの底力を実感することができました。レビュワー陣は、non profitのギャラリーからコマーシャルギャラリー、美術館、大学、出版社など、例年以上に豪華で、今年は僕に続いてアジアから韓国のキュレーターが初めて招かれていました。予選参加者が1700、そこから実行委員会の選抜委員会が100名まで絞り込んでの激戦です。日本人の申込者もたくさんあったとのことですが、実際に予選を突破したのは1名のみでした。地理的に遠いこととコストが高く断念する作家もいるため、グラントを充実させるのがとても大切だという話もありました。

29名のうちギャラリーで個展クラスのプロジェクトを提案できる作家が3名、グループ展で実験的に展示してみたい作家が5名、またMt.ROKKO INTERNATIONAL PHOTO FESTIVALの来年度のゲスト写真家に誘う可能性のある作家が2名ほど。多くの人が僕を希望レビュワー順位で1位か2位に書いてくれていて、ギャラリーや六甲山国際写真祭のことを事前によく研究していました。当たらなかったために残念がっている写真家も多くいました。日本に行きたいという理由が多いのだと思いますが、Review Santa Feから日本に連れ帰ったプロジェクトが年間2つ3つあり、さらに六甲山国際写真祭でもメインゲストに2名を選んでいるなど、確実に成果にしているところが好感されているのです。さらに東洋の視点から見てどのように感じるか、という素直な問いかけもありました。これまでプロジェクトにしたDavid SchalliolやDina Litovsky、Francine Fleischerはその後新しいプロジェクトが次々と生まれています。また今年のMt.ROKKO INTERNATIONAL PHOTO FESTIVALでは昨年Review Santa Feで出会った2名、Wenxin ZhangとHaley Morris-Cafieroがメインゲストとして日本にやってきます。

レビュワー陣とは多くの人が顔見知り程度だった去年とは異なり、今年はより突っ込んだ話し合いをしました。写真の傾向というようなことよりも、写真イベントの質が集客集金に偏っていくことへの危機感を共有する話が多く、お前のところはどうなんだ、という質問もありました。また、ギャラリー間でアーティストを共有交換したり、non profitなイベントを共有する話し合いなど、かなり突っ込んだディスカッションをしてきました。

例年通り、レビュワー陣は金曜夜にGay BlockというReview Santa Feには欠かせない素晴らしい写真家、写真コレクターのプライベートパーティーに誘われました。Gayの家にはダイアン・アーバス、 グルスキー、ブラッサイ、ロバート・フランクなどの壮大なコレクションがあり、毎年驚かされます。ベッドルームツアーというのがあり、寝室や浴室の中にまで踏み込むことが許され、多くのレビュワー共々ため息をつくひと時となりました。

クロージングレセプションは、なんと世界的なコレクター、キュレーターであり、日本人写真家を世界に知らしめた、ヒューストンから世界の写真コミュニティーの立ち上げに尽力したAnne Tuckerの業績を讃えるパーティーが開催され、本人のユーモアをたっぷりとたたえたレクチャーを聞くことができました。これは次の記事でまとめてみます。

風景写真という新しい写真

いよいよReview Santa Feが始まり、早速一つ重要なKeynoteレクチャーがありました。

Critical Landscape Photographyというお題目ですが、非常に興味深い話でメモを取りながらなんとか食らいついて聴きました。要点は、アートフォトと区別されていた感が強い「風景写真」というカテゴリーが新しい役割を果たしつつあるというメッセージです。ただし、ここには多くの伏線があって、いわゆる風景写真と私たちが考えているようなファインアート写真はやはり区別されてはいるし、ただの風景写真は風景写真なのであってそのこと自体は従来から変わらないけれど、そこに何かしらメッセージが含まれていくようなプロジェクトが増えているという話です。演者はLucy Lippardという著名なアート批評家。彼女自身もいわゆるアート活動家(アクティビスト)でもあります。

ある土地のある時間帯の風景を撮影するということは誰でも経験することですが、ある土地のある意味性を含んだ風景写真が重要さを増しているという現実があります。たとえば中国の大規模な開発の風景、たとえば津波の被害を被った東日本の風景、たとえば大規模な発電所を撮影したシリーズなど、知的な視点、興味を含むことで、単純化されていた風景写真とは異なるメッセージが含まれていくようなプロジェクトを作り得るという視点から話が進んでいきます。そこには、潜在的にあるいは確信的に風景アクティビスト(作家自身)が介在することによって、従来の視覚的な風景に加えてよりバーバルで説得力のある作品が生み出されているという内容です。

一介の風景でも、アマチュアが撮影していても、旅行者でさえ、この説得力のある風景写真を撮ることが可能で、実際デジタル写真とSNSなどの組み合わせでこの流れはものすごい勢いで写真に意味性を加えています。付け加えるなら、アマチュアの単純な風景写真ですら、その場所の風景をある時点で切り取っているわけなので、決して侮れないインパクトを将来持ちうるという視点も提示します。つまり、東日本大震災以前に撮影された東北のアマチュア写真家のプロジェクトは、震災後に撮られた多くのプロの震災写真よりも重要な意味を持ちうるということだったりします。

多くのサンプルが示されていましたが、本当に素晴らしいものばかり。今、風景写真が変わりつつある、というお話でした。

 

 

 

Review Santa Feに来ています

Review Santa Feに来ています。

 

昨日午後の便で伊丹を飛びだち、成田、ロス経由でアルバカーキへ。そこからレンタカーで移動してサンタフェに入りました。サンタフェは本当に美しい町です。宝石と例えられるのがよく分かるアメリカ中西部。ロスからは1時間20分のフライトで、そこから車で北東に1時間。

サンタフェも4回目の訪問ですが、アメリカの運転にも慣れてもっといろいろドライブしたいくらいです。アルバカーキもサンタフェもRoute 66に含まれており、思わず始点の僕が育ったシカゴに行きたい気分です。

さて、今日11日はレセプションとアーティストトークが予定されています。明日からレビューが始まりますが、いつものように29枠すべてが埋まっています。中には大御所の名前もあり、なかなかに緊張しそうなレビューとなりそうです。

宿泊/会場となるホテルは毎年変わっていくみたいで、今年はDrury Plaza Hotel in Santa Feという超高級ホテルです。Santa Fe Plazaからほど近く、朝散歩がてらPlazaに行ってきました。なんとものどかというかこころが癒されますね。

今年はReview Santa Feも15周年。Santa Fe Photo Festivalと銘打って写真祭としてアメリカの重要な写真イベントに変わっていこうとしているようです。主催者のLauraと話し合う機会もあると思いますのでそのあたりもレポートしようと思います。

©HIROMI TSUCHIDA

土田ヒロミ「砂を数える」準備中

©HIROMI TSUCHIDA

©HIROMI TSUCHIDA

4月25日(土)からGallery TANTO TEMPOの開設7周年写真展として土田ヒロミさんの写真展「砂を数える」が始まります。

5月16日には土田さんご本人がGallery TANTO TEMPOを訪れ、午後4時からトークショーを開催します。また、それに続いてGallery TANTO TEMPOの7周年を祝って開設記念パーティーを開催します。Gallery TANTO TEMPOに関わりのある方、これまでいろいろな形でギャラリーを支えてくださった皆さんに感謝の気持ちを込めて、ささやかですが宴を持ちたいと思います。僕もまたギターでも弾こうかなと考えています。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

初出時、土田ヒロミ氏のトークショーが5月17日と表記しておりました。正確には5月16日ですので訂正してお詫び申し上げます。